本来、猫を飼う場合、特定の猫を里親会やペットショップから譲渡され、その後はえさやり、トイレの世話など日常のケアをしながら、一生面倒をみるのが常識だった。
しかし、私たちの猫との暮らし方に変化をもたらす可能性のあるサービスが生まれてる。それは、『猫付マンション』と呼ばれるものだ。
これは、NPO法人『東京キャットガーディアン』が賃貸マンションのオーナーと提携し、『猫付きマンション』として入居者を募るという企画で、システムは以下の通り。
①賃貸契約と、同時に『猫の生体貸与契約書』を交わす。
②契約者に里親の適性があるか『東京キャットガーディアン』の担当者が面接審査を行う。
(ちなみに、合格率は現在60%程度という)
③その審査を合格した後に、シェルターで数多くの猫たちの中から一匹選ぶ。
これで、晴れて猫との暮らしをスタートできる。
④引っ越す場合は、猫を返却することになる。但し、愛着が湧いてしまった場合は、“貸与契約”から
“譲渡契約”に切り替えることも可能。
『猫付マンション』というネーミングから、物件に自動的に猫が付いてくると誤解しがちだが、“猫をレンタルできる物件”というわけだ。
なぜこのようなことができるのか。猫の保護団体や活動家は、これまで自分で借りたの施設や自宅で猫を保護し、里親を探していた。しかし、現状は慢性的なキャパシティ不足で、結果的に保護しきれずに殺処分になってしまう猫が多く存在する(下図)。(※保護団体が直接殺処分しているという意味ではない)
それに対して、猫付マンションの概念は下図のように、猫を保護する場を一般の賃貸マンションにまで広げ、キャパシティを増加させることができるのだ。
ペットを飼うということは、生命を背負うことであり、重い責任を負うことになる。しかし、人の人生である以上、突然の転勤、失業、入院、あるいは死亡などの事情によって、その責任が背負い きれなくなることもある。
それでも世間には、「一度引き取ったのなら、人生を擲ってでも最期まで面倒を見るべきだ」という非情なまでに厳しい意見が多くを占めているように思われる。そうした声にさらされた時、追いつめられた一部の飼い主は、猫を捨てたり、殺処分したりするという決断をしてしまう。これは、猫にとっても、飼い主にとっても悲劇であり、一方的に飼い主を責め立てたところで何の解決にもならない。
殊にペットのこととなると「情動」や「モラル」といった曖昧なものをより所としてしまう傾向があるが、この社会的な問題の解決に必要なのは「システム」なのだ。少なくともこの「猫付マンション」というシステムを活用していれば、上述のような悲劇は未然に防がれるだろう。
また、“猫を飼ってみたい”と思っているけれども、その重い責任と猫を飼うことのハードルの高さゆえに、リスクを回避してきた人が少なからず存在するのは間違いないだろう。そんな潜在ニーズにも応えることができるのだ。
このサービスが成功するかどうかはまだ分からない。多くの改善を積み重ねることになるだろう。ただ、猫の所有に関する新しいモデルを社会に提示しているという、意義深さには疑う余地はない。ペットを飼うことの重い責任やリスクを多くの人や団体でシェアすることで、より安心して動物と暮らせるようになるという社会インフラを発明したのだ。これはペットの“ライトオーナー化”とでも言えるだろう。
今後、『猫付マンション』に留まらず、猫と人との共生は“ライトオーナー化”へ向かい、様々なビジネスが台頭するのではないだろうか。そしていくつもの新たな問題に直面しながらも解決の道を模索し続け、それらのサービスの質が競争の中で向上していけば、猫と人との共生の在り様もより良いものへ変化していくだろう。
そんな未来を想い、期待を抱く今日この頃。
それでも世間には、「一度引き取ったのなら、人生を擲ってでも最期まで面倒を見るべきだ」という非情なまでに厳しい意見が多くを占めているように思われる。そうした声にさらされた時、追いつめられた一部の飼い主は、猫を捨てたり、殺処分したりするという決断をしてしまう。これは、猫にとっても、飼い主にとっても悲劇であり、一方的に飼い主を責め立てたところで何の解決にもならない。
殊にペットのこととなると「情動」や「モラル」といった曖昧なものをより所としてしまう傾向があるが、この社会的な問題の解決に必要なのは「システム」なのだ。少なくともこの「猫付マンション」というシステムを活用していれば、上述のような悲劇は未然に防がれるだろう。
また、“猫を飼ってみたい”と思っているけれども、その重い責任と猫を飼うことのハードルの高さゆえに、リスクを回避してきた人が少なからず存在するのは間違いないだろう。そんな潜在ニーズにも応えることができるのだ。
このサービスが成功するかどうかはまだ分からない。多くの改善を積み重ねることになるだろう。ただ、猫の所有に関する新しいモデルを社会に提示しているという、意義深さには疑う余地はない。ペットを飼うことの重い責任やリスクを多くの人や団体でシェアすることで、より安心して動物と暮らせるようになるという社会インフラを発明したのだ。これはペットの“ライトオーナー化”とでも言えるだろう。
今後、『猫付マンション』に留まらず、猫と人との共生は“ライトオーナー化”へ向かい、様々なビジネスが台頭するのではないだろうか。そしていくつもの新たな問題に直面しながらも解決の道を模索し続け、それらのサービスの質が競争の中で向上していけば、猫と人との共生の在り様もより良いものへ変化していくだろう。
そんな未来を想い、期待を抱く今日この頃。
ねこきゃっとらいふ。~Neko-Cat-Life~ ライター A-chang